混沌とした交通網の上空に架かり、2つの高層オフィスビルを繋ぐ、洗練されたガラス張りのスカイブリッジ。この画像は、構造化されていない膨大な情報(下の交通)から安全に分離された、統制の取れたデータの通り道(橋)を象徴しています。

Tavily、AIエージェントの企業向けウェブアクセス実現に向け2,500万ドル(約37.5億円)を調達

August 06, 20256 min read

Tavily、AIエージェントの安全なウェブ接続実現に向け2,500万ドル(約37.5億円)を調達

AIインフラの新興企業であるTavilyは、総額2,500万ドル(約37.5億円)の資金調達を完了しました。この調達は、自律型AIエージェントに対して、リアルタイムでかつ安全性・コンプライアンスを担保したウェブアクセスを提供するという、現代企業が直面する重要課題に応える取り組みの一環です。

今回の資金調達は、Insight Partnersが主導した2,000万ドル(約30億円)のシリーズAラウンドを含み、市場におけるTavilyの存在感と戦略的重要性を一段と高めるものとなっています。これは、AIの活用が本格化する中で、制御と統制を担保する専門的なインフラの必要性に対する認識が急速に高まっていることの表れでもあります。

ガバナンスなきAIがもたらす企業リスク

金融、営業、マーケティングなど多様な部門で、リアルタイムな不正検知や戦略的なデータ分析を目的に、AIエージェントの導入が加速しています。しかし、これらの高度なAIが十分に機能するには、常に最新のインターネット上の情報へのアクセスが不可欠です。

その一方で、AIエージェントを大規模言語モデル(LLM)に直接接続することは、十分な安全対策がなければ、重大な運用リスクやコンプライアンス上の問題を引き起こしかねません。

Insight Partnersのマネージングディレクターであるジョージ・マシュー氏は、「統制のない環境は、AI活用の恩恵を無秩序に変えてしまうリスクがある」と警鐘を鳴らしています。

Tavilyの戦略:セキュアで統制されたAIエージェント運用の実現

Tavilyは、まさにこうしたニーズに対応するエンタープライズ向けAI検索・接続プラットフォームを提供しています。同社のプラットフォームは、公開・非公開を問わず様々なウェブソースから、AIエージェントが構造化された情報を検索・クロール・抽出することを可能にします。

最大の特徴は、企業ごとに異なるコンプライアンスやポリシーに完全準拠しながら、あたかも人間の専門家が統制された調査を行うかのように、AIエージェントが安全かつ高精度に情報収集を行える点にあります。これにより、企業はセキュリティやガバナンスを損なうことなく、自律型AIのポテンシャルを最大限に引き出すことができます。

オープンソースからエンタープライズ領域への進化

Tavilyは、データサイエンティストのロテム・ワイス氏によって2024年に設立されました。そのルーツは、同氏が2023年に立ち上げたオープンソースプロジェクト「GPT Researcher」にあります。このプロジェクトは、LLMに検索機能が標準搭載される前からウェブデータを活用できる仕組みとして高い評価を受け、GitHubでは約2万のスターを獲得するなど、大きな支持を集めました。

Tavilyは、GPT Researcherの技術的基盤を継承しつつ、企業向けに特化したソリューションへと進化。現在ではGroq、Cohere、MongoDB、Writerといった先進テクノロジー企業に対して、強力な検索・ガバナンス機能を提供しています。

拡大する市場機会と競争環境

Tavilyは、「今後10億のAIエージェントを安全かつ効果的にウェブに接続する」という大胆なビジョンを掲げています。同社がターゲットとするAIインフラ市場は急成長を続けており、競合も続々と台頭しています。

たとえば、最近1,700万ドル(約25.5億円)を調達したExa社や、急成長中のFirecrawl社などが挙げられます。さらに、OpenAIやPerplexityといった大手企業も検索基盤の開発を本格化しており、インテリジェントエージェントを支える次世代インフラの主導権争いが本格化しています。

まとめ:AIガバナンスが経営課題となる時代へ

今回のTavilyによる資金調達は、単なるスタートアップの成長ストーリーにとどまらず、AI活用が企業活動の本流へと移行したことを象徴しています。AIの導入が「試験運用」の段階を超え、実際の業務プロセスへと深く組み込まれる「本格運用フェーズ」に突入した今、求められているのは攻めと守りの両立です。

AIの価値を最大化するには、その機能性や効率性だけでなく、セキュリティやコンプライアンスをいかに確保するかというガバナンスの視点が不可欠です。Tavilyのような専門インフラが果たす役割はますます重要となり、AI戦略はもはや技術部門だけのテーマではなく、経営全体に関わるリスク管理・成長戦略の中核となりつつあります。

最新ニュースは以下をご覧ください: https://aipulse.jp/blogs-3259-8285

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