深い背景色の中で、複雑に絡み合った金色の糸が、光り輝く整然としたラインへと変化していく様子を描いた抽象的なアート。AIが難解な契約情報を解きほぐし、ビジネスに明確な道筋を示す様子を象徴している。

LegalOn、5000万ドル(約75億円)の資金調達を実施 AI契約レビューの進化とグローバル展開を加速

July 25, 20257 min read

AI契約レビューの進化とグローバル展開を加速

AIを活用した法務ソリューションを提供するLegalOn Technologiesは、シリーズCラウンド(事業拡大や海外展開などを目的に、成長段階にある企業が実施する第3段階の資金調達)において5000万ドル(約75億円)の資金調達を実施したことを発表しました。本ラウンドはゴールドマン・サックスのグロース・エクイティ・ファンドが主導し、資金はAIエージェントの高度化や米国・英国での事業拡大に充てられます。これにより、同社の累計調達額は2億ドル(約300億円)を超え、「AI契約レビュー」の未来に対する投資家の強い信頼と期待が改めて示されました。

契約書レビューの課題とAIによる変革

企業の法務部門において、契約書のレビュー業務は長年にわたり大きな負担となってきました。従来は手作業に頼らざるを得ず、膨大な時間と人的リソースを要していたため、業務の遅延やヒューマンエラーを招き、企業にとって深刻なリスクとなり得るものでした。

LegalOnは、こうした課題に対し、主力AIプラットフォーム「Review」で解決策を提供しています。本ツールは、高度なAI技術を用いて契約書の内容を分析し、弁護士が監修した「プレイブック(契約審査ガイドライン)」や企業ごとの基準に基づいて、リスクの抽出と適切な修正案を提示します。同社によれば、導入企業では契約書レビューの時間を最大85%短縮できるとのことで、これにより法務部門はより戦略的かつ付加価値の高い業務へとシフトできるようになります。

グローバルでの導入と市場での評価

LegalOnのプロダクトはすでに日本、米国、英国を中心に7,000社以上に導入されており、その提供価値は市場からも高く評価されています。特に日本国内では、上場企業の約25%が同社のプラットフォームを活用しており、業界内でのリーダー的な地位を築いています。さらに、米国・英国における事業はこの1年間で4倍の成長を遂げており、法務分野におけるインテリジェント・オートメーション(知的自動化)への国際的な需要の高まりを示しています。

法務知見に根ざした独自技術と戦略的提携

LegalOnは2017年、元企業法務弁護士の角田望氏と小笠原匡隆氏により設立されました。法務領域における深い専門知識を事業の核とし、その知見をテクノロジーに落とし込むアプローチが、他社との明確な差別化要因となっています。

同社のグローバルCEO、ダニエル・ルイス氏は「LegalOnのAIは、汎用的なモデルとは異なり、法務の専門家が作成した高品質なコンテンツを基盤としているため、現実の業務で即座に活用できる実用性と正確性を備えている」と語っています。

さらに、LegalOnはOpenAIと資本関係を伴わない技術提携を結んでおり、最先端の大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)に早期アクセスできる体制を構築済みです。これにより、同社のエンジニアはOpenAIのチームと連携しながら、法務専門家向けの次世代AIエージェントの開発を進めています。また、法務案件の受付から進捗管理、部門間の連携までを効率化する新製品「Matter Management」も発表し、製品ラインアップの強化を図っています。

法務AIの未来:「代替」ではなく「能力拡張」へ

リーガルテック(法務技術)業界では、今まさに投資と技術革新が加速しています。LegalOnは、AIの役割を「弁護士の代替」ではなく「能力の拡張」と位置づけています。反復的で時間のかかる定型業務をAIが担うことで、法務の専門家は、戦略的判断や複雑な問題解決など、人間の知見が求められる業務に集中できるようになります。

これからは、AIを業務プロセスに効果的に取り入れた法務人材こそが、より高い生産性と競争優位を実現していくことになるでしょう。

まとめ

LegalOnの今回の資金調達は、同社の成長を象徴するだけでなく、AIが今後のビジネスにおいて果たす役割を明確に示すものです。とりわけ、法務という高度な専門性が求められる分野においてさえ、AIによる業務変革が進んでいる点は非常に示唆に富んでいます。

この成功の鍵は、汎用的な技術ではなく、専門知見という“人間ならではの強み”との掛け合わせにあります。今後の競争力は、AIをいかに自らの領域に戦略的に取り込めるかにかかっていると言えるでしょう。

AIに仕事を奪われるのではなく、AIを“強力な武器”として使いこなす。そうした姿勢が、これからのビジネスをリードしていく原動力となるはずです。本件は、すべてのビジネスパーソンにとって、自身の専門領域とAIの融合を真剣に模索する契機となるでしょう。

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