
Delve、AIコンプライアンス自動化で企業オペレーションの変革を目指し3200万ドル(約48億円)を調達
シリーズAで3200万ドル(約48億円)を調達、評価額は3億ドル(約450億円)に到達
AIを活用したコンプライアンス自動化の先駆者であるDelve社が、シリーズAラウンドにて3200万ドル(約48億円)を調達しました。これにより、同社の企業評価額は3億ドル(約450億円)へと上昇。市場からの高い期待と信頼を裏付ける結果となりました。
本ラウンドは、著名VCであるInsight Partnersが主導し、Fortune 500企業の最高情報セキュリティ責任者(CISO)も出資者として参加。調達した資金は、同社が展開するAIコンプライアンスプラットフォームを軸としたバックオフィス業務の自動化・最適化に充てられる予定です。
インテリジェントオートメーションが持つ戦略的意義
急速に複雑化する規制環境のなかで、企業はSOC 2、GDPR、HIPAAといった主要フレームワークへの対応に多くのリソースを費やしています。これらへの準拠はビジネス継続と信頼構築に不可欠である一方、従来の手法では業務負担が重く、成長の足かせともなっていました。多くの企業はメールやスプレッドシート、その他様々な社内ツールを駆使したワークフローに依存しています。この手作業中心のアプローチは非効率であるだけでなく、ヒューマンエラーを誘発しやすく、組織にとって大きなリスクとなり得るのです。
Delveは、こうした課題に対しAIによる「インテリジェントオートメーション」で真正面から取り組みます。同社のプラットフォームは、顧客が使用する既存のツール群とシームレスに連携し、証拠収集、セキュリティレポート作成、コンプライアンス状況のリアルタイム監視を自律的に実行。これまで数百時間を要していた作業の効率化を実現し、担当者を煩雑な運用から解放します。
課題発見からプラットフォーム構築への道のり
Delveのビジョンは、創業者自身の経験に根ざしています。マサチューセッツ工科大学(MIT)出身のカルン・カウシク氏とセリン・コチャラル氏は、当初AIによる医療文書作成サービスを開発していましたが、その過程でHIPAA準拠の煩雑さに直面。これを機に、コンプライアンス業務の根本的な効率化こそが企業全体の課題であると認識し、事業をピボットしました。
その後、世界的アクセラレーターであるY Combinatorに採択され、数ヶ月で顧客数は5倍に拡大。現在では急成長中のスタートアップを中心に500社以上で導入され、市場の強いニーズを実証しています。
「未来の働き方」を形作るビジョン
Delveが目指すのは、単なるコンプライアンス支援ツールの枠を超えた、企業オペレーションの再構築です。経営陣は、コンプライアンス自動化を起点とし、以下のような隣接領域への適用を視野に入れています。
サイバーセキュリティ監視
コーポレートリスク管理
内部統制・ガバナンス
Insight Partnersのマネージングディレクター、プラビーン・アッキラジュ氏は「コンプライアンスの近代化は、組織全体に波及する変革のトリガーである」とコメント。同社は単なるベンダーではなく、「未来の企業インフラ」を構築する戦略的パートナーとしての地位を確立しようとしています。最終的には、10億時間分の業務を自動化するという大胆なビジョンを掲げています。
まとめ
Delve社の成長は、単なるスタートアップの成功例にとどまりません。これは、これまで「守り」の領域とされてきたコンプライアンスやリスク管理が、AIの力によって企業成長を牽引する「攻め」の戦略領域へと変貌しつつあることを象徴する出来事です。
ビジネスリーダーにとって、いま求められるのは業務効率の部分的改善ではなく、根本的な業務設計の見直しです。AIエージェントが自律的にバックオフィスを担う時代はすでに視野に入りつつあり、それをどう戦略的に取り入れるかが、企業の競争力を左右する決定的要因となるでしょう。
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