暗闇の中を、無数の折り鶴が滝のように流れ落ちてくる。そのほとんどは黒や灰色で形が崩れているが、一筋の清らかな光がその流れに差し込むと、光に触れた折り鶴だけが鮮やかな白色に変わり、完璧な形で整然と下へ着地していく。これは、AIが膨大な情報(メール)の中から安全なものだけを瞬時に見分け、ビジネスに必要なものだけを届ける高度なフィルタリング能力を比喩的に表現している。

AegisAI、1300万ドル(約19.5億円)の資金調達を完了。インテリジェント・オートメーションでメールセキュリティを革新へ

September 11, 20256 min read

AegisAI、1300万ドル(約19.5億円)の資金調達を完了。インテリジェント・オートメーションでメールセキュリティを革新へ

Googleの元セキュリティ責任者らが立ち上げた先進的なサイバーセキュリティ企業AegisAIは、シードラウンドで1300万ドル(約19.5億円)の資金調達を完了し、本格的に事業を始動しました。本ラウンドはAccelとFoundation Capitalが共同で主導しており、AegisAIの使命である「高度化するメール経由の脅威を企業に到達する前に無力化する」取り組みを加速させます。

同社はインテリジェント・オートメーション(AIによる自動化)を活用し、フィッシング詐欺、マルウェア、ビジネスメール詐欺(BEC)といった巧妙化する攻撃を事前に検知・阻止する新しいセキュリティモデルの構築を目指しています。今回の資金は、技術チームの強化や市場投入戦略の確立に充てられる予定です。

深刻化するメール経由のサイバー脅威

メールセキュリティに抜本的な変革が求められているのは明らかです。米国のサイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁(CISA)によれば、成功したサイバー攻撃の90%以上がフィッシングメールを起点としています。さらに、CrowdStrikeの最新調査では、大規模言語モデル(LLM)で生成されたフィッシングメールのクリック率が2024年には54%に達し、人間が作成したメールの12%を大きく上回ることが示されました。

この事実は、従来の防御策に重大な限界があることを浮き彫りにしています。攻撃者は企業が成長のために活用するAIそのものを武器化しており、旧来型のセキュリティシステムに深刻な課題を突きつけています。

インテリジェント・オートメーション・エージェントによる新しい防御

AegisAIは進化する攻撃手法に対し、自律型AIエージェントのネットワークで応戦します。従来のルールベース型システムが容易に回避されるのに対し、同社のプラットフォームは複数のAIエージェントが連携する動的な仕組みを採用しています。

これらのエージェントはカスタム構築されたLLMで、受信メールを以下の観点からリアルタイムに解析します。

・リンクや添付ファイル
・メタデータやQRコード
・行動パターン

まず司令塔となるエージェントが脅威を評価し、その後、特化型エージェントが詳細分析を実施。最終的な結論はエージェント同士の連携で導き出され、高精度な判定を実現します。さらに、この仕組みは新たな攻撃パターンを自己学習しながら適応を繰り返すことで、進化し続ける防御基盤を構築します。

企業が得られるメリット

AegisAIのプラットフォームは、誤検知を従来比で最大90%削減できるとされています。これによりセキュリティチームの負荷は大幅に軽減され、より戦略的な業務に注力可能になります。

また、Google WorkspaceやMicrosoft 365に対してAPI経由で5分以内に導入できる設計となっており、煩雑で時間を要する導入作業は不要です。

今後の展望

今回の資金調達をもとに、AegisAIはメールセキュリティ市場の再定義を進めます。サンフランシスコとニューヨークを拠点に、米国および欧州の顧客とすでに試験運用を開始。Lokker(データプライバシーコンプライアンスソフトウェア)、Mesh Connect(暗号資産決済プラットフォーム)など3社が有償導入を行っています。

創業者であるCy Khormaee氏とRyan Luo氏は、Google Safe BrowsingやreCAPTCHAで培った知見をもとに、メールセキュリティを「事後対応型」から「予測的かつ自律的な仕組み」へと転換させることを目指しています。今後もAIエージェントネットワークの拡張を継続し、常に攻撃者の先を行く防御体制を追求する方針です。

まとめ

AegisAIの登場は、AI時代におけるサイバーセキュリティの在り方が根本的に変わりつつあることを示しています。静的なルールベースの対策は、AIによって高度化した攻撃にはもはや対応できません。

攻撃者がAIを利用する以上、防御側もAIを駆使し、自律的かつ予測的に脅威へ対処する必要があります。セキュリティはもはや「コスト」ではなく「戦略的投資」として捉えるべき局面に来ています。

プロアクティブな防御は、インシデント対応にかかる時間やコストを削減するだけでなく、事業継続性や企業の信頼性を守る基盤となります。AegisAIのような次世代ソリューションは、すべての企業が検討すべき新しい標準となりつつあります。

今こそ、自社のセキュリティ戦略がこの新たな脅威環境に対応できているかを見直すべき時です。

最新ニュースは以下をご覧ください: https://aipulse.jp/blogs-3259-8285

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